ジョンソン・メソッド

ジョンソン・メソッドとは、あら捜しの監査を改めて真に被監査企業にとってメリットのある監査をする手法のことです。
 
◆問題の多い監査
 問題の多い監査では、ISO規格を教条的に捉えて重箱の隅つつき的な監査をしてしまいがちです。まったく不適合のない企業は世の中には存在しません。このため、このような監査をしてしまうと、不適合指摘がもぐら叩きのようになってしまい、本来の監査目的から逸脱してしまう欠点が兼ねてから指摘されています。


Johnson_curve.gif◆ジョンソン・メソッドのメリット
 ISO監査は本来被監査企業にとって、メリットのあるものでなければいけません。例えば、品質に関わる重大な不適合やそれに関連するマネージメントプロセスの欠陥を指摘する。そのような本質的な監査を行うことがマービンジョンソンの哲学であったはずです。
 監査員として能力がもっとも現れるのは、監査実施後の「監査是正処置要求書」です。当社のカリキュラムに於いては、この監査是正処置要求書の作成トレーニングに豊富な時間を設け、相手に何をしてほしいかをきちんと伝える技術「勧告」が正しくできるまで指導します。

◆不適合を自ら発見させる実施演習
 研修中に配られるのが、某サイトにおけるかなり詳細な審査のテキストです。これは、とある架空のサイトを監査員がまわり、そこで各部署の担当者をインタビューをしたり、いろいろな物事を見たり聞いたりした監査の記録で、テキストといっても会話や観察がそのままひとつのストーリーに仕立てられているシナリオです。そしてこのシナリオのなかの具体的な事例から受講者自らが不適合箇所を抜き出し、それが要求事項のどの項に該当するのかを考えさせる仕組みになっています。受講生が自ら考え、不適合を発見させる実践的的な演習です。
受講生はいくつかのグループに分かれ、それぞれが摘出した不適合箇所を持ち寄ってグループディスカッションを行い、そこでディスカッションの内容を踏まえて、ボードワーク(答え合わせ)に臨みます。
 さまざまなケースを想定したシナリオと、個人とグループで考える時間が事前に十分割かれていること、そして講師のわかりやすい解説を加え、有益なボードワークとなります。

Personality.gif◆講師とのボードワーク
 「具体的なストーリーの中から規格の要求項目を引用していくので、理解しやすく何より自分で十分考えたうえで、講師とディスカッションをすることで、体で規格を感じてもらいます。最初は漠然としていた不適合箇所がだんだんと明確になり、同時にどの要求項目に該当するのかが鮮明に浮かび上がってきます。
 大抵の方は、概して不適合箇所を摘出することよりも、それがどの要求項目に該当するのかを考えることのほうが苦手です。
講師陣は受講生の回答に対して、なぜ摘出した不適合箇所の該当項目がコレでなければならないのか?ということを懇切丁寧に、そして合理的に解説していきます。
 そして、そうした受講生一人一人の一つ一つの事例を最適の要求項目に導くということを繰り返し、参加者全員の規格への理解がどんどん深まっていくのです。
 LMJジャパンの研修コースの特徴の一つは、このボードワークにも垣間見れます。

johnson.book.gif◆トップの関心を掘り起こすCARとは?
 ボードワークと並んでジョンソンコースの特徴となるが、是正処置要求書(CAR/Corrective Action Request)の作成です。
 LMJでのCAR作成のポイントは、なかなか難しいのですが、一点一様の適正要求を避けるところです。
要求事項の項目でまとめるか、検出場所でまとめるか、そこは監査員の裁量にまかせられます。同じような性質の不適合は何点かまとめてCARの観察事項として列挙し、それらに共通する問題を大きく捉えたうえでスバリと勧告事項を、あまりしつこくなくまた気持ちをこめて分かりやすく書く方法をとっています。
 
<例えば>
サイト内の各所で計測機器及び試験装置の監査を行った際、校正していない検査用リングゲージや、私物で登録していないマイクロメーター、あるいは校正レベルに達していない定盤、有効期限切れのウィートストンブリッジ(Wheatstone bridge:拡散半導体圧力センサなどの測定に用いるひずみゲージ回路)などが発見された場合、それらを一件一件これを校正せよ、これを登録せよ、と是正要求するのではなく、それらは客観的証拠とともに観察事項に列挙したうえで、勧告事項としては「校正実施体系に組み込まれていない計測機器をすべて洗い出す。直ちにすべての計測機器を確認し、校正の状態を表示すること」というように、大きく括って指摘することで、何かそれら問題の原因なのかを、相手に分かってもらうことが大切だと考えます。

 一点一様の是正要求は対症療法的であり、企業が本当に何をすべきかが見えてきません。同じような不適合をまとめることで、何が欠けているか、そして何をすべきかが透けて見えてきます。そして重箱の隅をつつくような細かい事項をいくら指摘しても経営トップは関心を示さないが、大きく括ることによって今まで見えなかったところが見え、そうすることによってトップの出番が生まれることにもなります。言い換えるならば、トップ・マネジメントが関心を持ってくれる事項を掘り出せるかどうかが監査員の仕事の重要なポイントになる、そのための是正要求書の書き方をお伝えしております。